2023年12月10日(日)に実査されるヨーロッパの鉄道時刻改正で、オーストリア連邦鉄道に関する内容をまとめました。
夜行列車関連(NJ・EN)
ナイトジェット(Nightjet)
ウィーン・ハンブルク間、インスブルック・ハンブルク間の路線に新型車両が投入
ウィーン中央駅とハンブルク・アルトナ駅を結ぶ「NJ490/491便」とインスブルック中央駅とハンブルク・アルトナ駅を結ぶ「NJ40420/40491便」に、新型車両が投入されます。新型車両投入による大きな時刻の変更はありません。

ウィーン・ブレゲンツ間の国内路線に新型車両が導入予定
ウィーン中央駅(自動車駅)とブレゲンツ駅間で運行されている「NJ446/447便」に、3月5日より新型車両の投入が予定されています。新型車両の運行は、ウィーン・ハンブルク線、インスブルック・ハンブルク線に続いて3路線目です。3月5日よりブレゲンツ方面の「NJ446便」、その折り返しで3月6日からは「NJ447便」でも運行されます。チケットの販売がも開始されており、すでに購入することが可能です。
ベルリン・パリ間と、ベルリン、ブリュッセル間のナイトジェットが新設
2024年ダイヤではベルリン中央駅とパリ東駅を結ぶ「NJ40424/40469便」と、ベルリン中央駅とブリュッセル南駅を結ぶ「NJ424/425便」が新設されました。
同列車はベルリン中央駅とマンハイム中央駅間で併結され、それ以東はそれぞれ、ウィーン、パリ間の「NJ468/469便」と、ウィーン、ブリュッセル間の「NJ40468/40425便」に併結されます。
グラーツ・ベルリン間のナイトジェットが経路変更
2023年ダイヤ以前では、ポーランドを経由して運行されていた「NJ456/457便」が、ポーランドを経由せず、チェコのプラハ、ドイツのドレスデン経由に変更されました。それに伴い、所要時間が大幅短縮され、ベルリン中央駅での発着時間が大きく変更されています。

ユーロナイト(Euronight)
ワルシャワ発着の「EN406/407便」の発着駅が変更される
2023年ダイヤではワルシャワ東駅とグラーツ中央駅間で運行されていた「EN406/407便」ですが、2024年ダイヤでは、グラーツ中央駅からミュンヘン中央駅へと発着駅が変更されました。オーストリア内を経由することは変更されず、ウィーン中央駅以西はオーストリア西部線経由で運行されます。

レールジェット関連(RJX・RJ)
国際路線
ブレゲンツ駅経由のウィーン・フランクフルト間のレールジェットが両方向とも「RJX」化
2023年ダイヤでは、フランクフルト向きが「RJ860/890便」と、ウィーン向き「RJX897/867便」で運行されていましたが、2024年ダイヤでは、両方向とも「RJX」便に変更されました。

ウィーン空港駅発、ミュンヘン中央駅行きの「RJ」が新設
ウィーン空港駅発のザルツブルク中央駅経由ミュンヘン中央駅行きが新しく設定されました。土曜日以外で運行されます。「RJ」便として運行されるので、ザルツブルク中央駅とミュンヘン中央駅間では、いくつかの停車駅が設定されています。

ザルツブルク中央駅とミュンヘン中央駅間に短距離「RJ」系統が新設
ザルツブルク中央駅とミュンヘン中央駅間に「RJ」便が1.5往復設定されました。
それまで、ドイツ鉄道の客車で運行されていた、ザルツブルク中央駅発着のインターシティーが区間をミュンヘン中央駅に短縮し、置き換えた列車となります。
ミュンヘンとイタリア間で運行されている「EC」が「RJ」化
ミュンヘン中央駅とイタリアの各都市間で運行されている「EC(ユーロシティー)」が新型の車両を使用した「RJ」便へと変更されます。ダイヤ改正時点では、「EC」として運行されますが、4月8日より一部の路線で開始し、10月中に全便が置き換えられる予定です。

国内路線
ザルツブルク経由のウィーン・クラーゲンフルト路線が系統分離される
ザルツブルク経由で運行されていた、ウィーン中央駅(ウィーン空港駅)〜クラーゲンフルト中央駅間の「RJ」がザルツブルク中央駅で系統分離されました。それぞれのダイヤは変更されておらず、それぞれ独立した路線となったのみです。
リーエンツ発着のレールジェットが定期列車化
2023年では特定の曜日のみ、レールジェット便が延長運行されていたフィラッハ中央駅とリーエンツ駅間ですが、2024年ダイヤより「RJ533/632便」として定期列車が設定されました。それに伴い、ハンガリーの客車とオーストリアの客車の混成編成であった「IC533/632便」の運行が終了されました。

インターシティーエクスプレス(ICE)
国際路線
ドイツ・クラーゲンフルト間の「EC」が「ICE」に変更
ザルツブルク中央駅経由で運行されていた、ドイツとクラーゲンフルト中央駅を結ぶ「EC114/115/117」便が2024年ダイヤより「ICE」便となりました。使用される車両はBR812形(ICE-4)の7両編成です。
ダイヤ改正後「ICE」化はされますが、2024年7月中旬以降は、再び「EC」便に戻される予定です。

国内路線
オーストリア完結のICE便が新設
ドイツとクラーゲンフルトを結ぶ路線が「ICE」化されたことに伴い、「EC」の間合い運用として設定されていた「D899便」も「ICE899便」に変更されています。「ICE」はドイツの種別ですが、この列車はオーストリア内で完結する便となります。なお、「EC」に戻る夏以降は「IC(インターシティー)」便になる予定です。
ユーロシティー(EuroCity)
ドイツ・スイス方面
ドイツ客車の定期列車によるオーストリア乗り入れが終了
ドイツ・グラーツ中央駅間、ドイツ・クラーゲンフルト中央駅間で運用されていた、ドイツ客車の定期オーストリア乗り入れは、2023年12月の改正をもって終了されました。
前者のドイツ・グラーツ中央駅間の「EC」はオーストリア連邦鉄道(ÖBB)の車両へ変更、後者は「ICE」にそれぞれ変更されています。

東欧方面
ウィーン・ポーランド間の「EC」が1往復増便
ウィーン中央駅とポーランドの各地を結ぶ「EC」便が1往復増便され、ポーランド側の発着駅にクラクフ駅が新しく設定されました。新しく設定されたクラクフ駅発着便には、ヴロツワフ駅発着の列車も併結されているため、実質2つの路線が設定されたことになります。
また、ダイヤ改正に伴い便番号が変更・整理されています。

ウィーンからハンガリー方面の「EC」便にウクライナのチョープ行きが増便
2023年ダイヤでは「EC140/149便」として1往復運行されていた、ウィーン中央駅とウクライナ南西部のチョープ駅を結ぶユーロシティーですが、2024年ダイヤより「EC143/146便」が追加され2往復となりました。それに伴い、従来の「EC143/146便」のルーマニアのクルジュ・ナポカ駅発着は廃止され、ルーマニア方面は同便の付属編成の「EC686/687便」バヤ・マーレ行きとして運行されます。
インターシティー(InterCity)
国際路線
夜行列車付属のインターシティーがオーストリア西部線に新設定
ポーランドのワルシャワ東駅とドイツのミュンヘン中央駅を結ぶ「IC60406/60407便」が、新しく設定されました。この便は2024年ダイヤで経路が変更された「EN406/407便」の座席車両に割り当てられた便となっており、全区間「EN」便に併結されて運行されます。
ウィーンとロストックを結ぶ座席夜行便の便番号が変更
ウィーン中央駅とドイツのロストック中央駅を結ぶ、座席夜行列車の便番号が「IC296/297便」に変更されました。なお、便番号以外の時刻や経路に大きな変更はありません。
ザルツブルクとドイツ間のインターシティーがオーストリアの客車に変更
2023年ダイヤではドイツの客車列車で運行されていた、「IC1290/1291/1296便」が、2024年ダイヤよりオーストリアの客車に変更されました。なお、「IC1290/1291便」に関しては一部の期間において「ICE1290/1291便」として運行されます。
Schnellzug[D](シュネルツーク)
国際路線
フィラッハ・スロベニア間の列車が増便される
ケルンテン州のフィラッハ中央駅とリュブリャナ駅間のシュネルツーク(以下「D」)便が3往復増便されました。2023年ダイヤ間では、フィラッハ中央駅から国境を超えて運行される「D」便は2往復とかなり限定された本数でしたが、2024年ダイヤからは既存の列車はそのままに3往復増便されました。既存からの2往復は客車列車で運行されますが増便された3往復は、スロベニア所属の近郊形列車で運行されます。
国内路線
ウィーン・ヴェルグル間の路線が新設
以前より「RJX」便によって運行されていた、ザルツブルク・チロル線を経由するウィーン・ヴェルグル中央駅間の路線に「D」便が新設定されました。設定された本数は1.5往復「D1060/1061/1064便」で、ヴェルグル方面が2本、ウィーン方面が1本が設定されています。1往復分は金曜日または土曜日と繁忙期の期間で、残りの1本は特定日のみの運行です。
ザルツブルク・マルニッツ間に輸送力増強用の便が1往復設定
2024年ダイヤから、ザルツブルク中央駅とケルンテン州のマルニッツ・オーバーフェラッハ駅間に輸送力増強用の「D595/696便」が新しく設定されました。主に、マルニッツからザルツブルク方面用の便となっており、ザルツブルク方面が早朝、マルニッツ方面が夕方に運行されます。運行日はザルツブルク方面が平日と土曜日、マルニッツ方面が月曜日〜木曜日と日曜日です。
オーストリア南部線の区間シュネルツーク便が登場
ダイヤ改正により、ウィーンとウィーン南部の都市ヴィナー・ノイシュタット間で運行される「D1233/1234便」が設定されました。運行区間が特殊で、南方面がウィーン中央駅からヴィナー・ノイシュタット中央駅、北方面がヴィナー・ノイシュタット中央駅からウィーン・マイドリング駅となっています。列車は金曜日と特定日のみに運行されます。
インスブルック・ブレゲンツ間の区間「RJ」がシュネルツークへ変更
2023年ダイヤではレールジェット編成を使用し、インスブルック中央駅とブレゲンツ駅間で運行されていた「RJ665/666便」が、2024年ダイヤより「D」便に変更されました。便番号はレールジェットから引き継がれ「D665/666便」となっています。なお、運行時刻は変更されていません。
私鉄
ウエストバーン
ウエストバーンがオーストリアの西端ブレゲンツへ
近年、ミュンヘン中央駅やインスブルック中央駅など、ダイヤ改正の度に延伸を繰り返してきたオーストリアを主体として運行している私鉄ウエストバーンが、2024年ダイヤよりフォアアールベルク州のブレゲンツ駅へ延伸します。1往復の設定で、ブレゲンツ方面が、夕方から深夜にかけて、ウィーン方面が早朝から昼過ぎにかけて運行されます。今回の延伸区間のインスブルック中央駅とブレゲンツ駅間では、同じ区間の「RJX」便よりも停車駅が多く設定されており、速達性よりも利便性を重視し競合を避けた形となります。

CJX/REX(快速系)
CJX(シティージェットエクスプレス)
オーストリア南部線にCJX系統が新設
2019年12月のダイヤ改正より、ウィーン近郊の西部線において設定されていた従来の快速(REX)の上位に当たる「CJX」が、2023年のチロル州に続き、2024年には南部線にも設定されました。区間は、ウィーン近郊のフロリッツドルフ駅から、ゼメリング鉄道の途中駅パイエルバッハ・ライヒェナウ駅間です。平日は30分に1本、休日は1時間に一本の本数が設定されています。また、ウィーン・マイドリング駅とヴィナー・ノイシュタット中央駅間では、停車駅が途中の1駅のみとなっており、同区間を走る「RJ」便などの長距離列車と2分違いのほぼ同じ所要時間となっています。
REX(レギオナルエクスプレス)
ウィーンからアスパン線直通のREXがフロリッツドルフ駅まで延長
2023年ダイヤでは、ウィーン中央駅発着のアスパン線直通REX系統が、ウィーンの中心街を通り抜けてフロリッツドルフ駅まで延長されました。運行は土日祝日に1日2往復の設定です。ウィーンとアスパン線沿線間の輸送用の列車のため、ウィーン・マイドリング駅とヴィナーノイシュタット中央駅間は、無停車でCJXよりも少なく長距離列車と同等の設定となっています。
